ニュース

ニュース

最新ニュース

これから開催するイベント

カンヌ映画祭 ドキュメンタリー部門 チベットのドキュメンタリー カナダから出品される!

Print Friendly, PDF & Email

(2004年5月11日 カナディアン・プレスより一部抜粋)

NFB(National Film Board of Canadaカナダ国立映画制作庁)は、映像作品やドキュメンタリーなど数点をカンヌ映画祭に出品する。少なくともそのうちの一つが国際的な事件を巻き起こすことになるかもしれない。

それは、カンヌ映画祭で我々(カナダ)に切り札として残されている目玉作品のドキュメンタリ−映画(タイトル不明)である。映画の内容は、ケベックにいる若いチベット難民が母国チベットに禁止されているダライ・ラマのビデオテープメッセージを密かに持込み、チベット人の数家族に見せるというものだ。中国政府は、映画の中でダライ・ラマの5分間のテープを見たチベット人に罰を科すかもしれず、最近開かれたトロントでの「ホット・ドックス・フェスティバル」ではこのドキュメンタリー映画の上映前に重大な安全に関する事前注意がなされた。なぜかというと、上演前に中国がそのドキュメンタリー映画のコピーを入手して、出演のチベット人を特定し、追跡するのではという懸念がずっとあったからである。

2年前のカンヌ映画祭では、米作品「アトム・エゴヤンのアララ(Atom Egoyan’s Ararat)」が出品されたが、第一次世界大戦時におけるトルコの虐殺行為という政治的犯罪がテーマであったため、トルコ社会からのアメリカに対して抗議が巻き起きるのではないかという懸念があった。しかし、それほど大変な事態にならなかった。

今回出品されるこのドキュメンタリー映画の共同プロデューサー、フランシス・プリボは、「安全対策をたてる」と言っているが、いかなる問題も予想していない。「フィルムのどの部分も劇場の外に持ち出されないよう安全対策をたてる」とプリボ。彼がチベットの連絡網に確認したところ、勇敢にも参加した17人のチベット人は現在も無事だということだ。プリボはこのドキュメンタリー映画が、半世紀にも渡る600万人のチベット人に対する抑圧について、外国政府並びに中国社会の双方で世界的な議論を巻き起こすことを希望しているのではない。
「チベット文化は失われつつある。多くの国々は、中国とこの問題について向き合おうとしていない。彼らは全て、中国との経済的結びつきを続けたいのだ。そのため、十分に議論されないのだ。これは、大変重要なポイントである」

監督のひとり、ヒュ−ゴ・ラチューリップは、いかなる賞も期待してはおらず、ただ国際社会への公表を望んでいる。
「その場へ行き、国際社会へのメッセージを出すことが、我々にとって賞のようなものだ。それだけでも我々には素晴らしいことに思える」